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痔の基礎知識

うんちはー、日本うんこ学会会長の石井です。
本日は痔についての解説をしていきたいと思っています。
お尻がむずむずしている人、痛みがある人、なんか膿が出てくる人等は是非ご一読ください。

痔の三大天

趙の三大天と言えば、廉頗・藺相如・趙奢ですが(漫画キングダム参照)、
腸の、もとい、痔の三大天といえば痔核(いぼ痔)・裂肛(きれ痔)・痔瘻の3つになります。
じかく、れっこう、じろう、響きもキングダムに出てきてもおかしくなさそうですね。

痔核のこと

痔核は肛門の内側にできる内痔核と肛門の周りにできる外痔核に分かれます。

内痔核は肛門部に鬱血が起こることで発症します。
血便が出てきて一番最初に疑われる病気は内痔核です。お尻の病気の中では一番罹患率が高いもので、性別や年齢に関わらず、誰でも起こる可能性がある病気です。
肛門の鬱血(うっけつ:血のめぐりが悪いこと)が悪化の原因です。鬱血の原因としては便秘が挙げられます。硬い便が肛門の周りを傷つけてしまったり、トイレに長時間座ってきばっているだけでも鬱血を起こしてしまうので、トイレの時間が長く、硬い便が出てくる便補がちの方は特に注意が必要です。2分以上きばるとリスクになると言われています。できればトイレは短時間で済ませるようにしましょう。お肉好き、香辛料好き、重い物を扱う職業、デスクワークなど長時間座って作業する職業の方は、特に発症する可能性が高いと言われていますので要注意です。

内痔核はゴリガー(Goligher)分類という4段階のスケールを使って診断を行います。

 

Ⅰ度 出血が主な症状で肛門の外に脱出しない
Ⅱ度 排便時に脱出するが、排便後自然に戻る
Ⅲ度 脱出後、手で押し込まないと戻らない
Ⅳ度 排便と無関係に常時脱出している

 

Ⅲ度以上が手術の対象と言われていますので、手で押して戻らないイボがお尻にできていたら早期に相談してみてください。
Ⅰ~Ⅱ度の間であればお薬だけで治療や維持できるものも、段階的に悪くなっていきます。早期に診断を受け治療開始することで悪化を防ぐことが出来るので、お尻に違和感を感じたらお近くの肛門科などで相談することをオススメします。

日々の生活の中では、便秘の章を確認してもらい、生活習慣を改善してスッキリツルッとうんこを出すことで症状の改善が見込めます。また鬱血を改善させるために、お風呂で湯船につかったり、湯船が時間なければ洗面器にお湯をはってお尻を温めるだけでも効果があると言われています。

次に外痔核ですが、
外痔核は激しい運動をしたり、急に重いものを持ったりした後などに突然血の塊が肛門にでき、腫れて痛み起こります。
血豆のようなものが肛門にできたと考えるとわかりやすいと思います。
痛みがほとんどない場合もありますが、激痛が伴うこともまずまずあります。いきなり座れない程の激痛が肛門に走ったら、多分これです。
名前の響き的には外痔核の方がイボ痔っぽいイメージですが、似て非なるものです。

裂肛のこと

俗に言う切れ痔です。便秘や下痢、擦り過ぎ等の物理的なダメージによって肛門上皮が切れ、痛みや出血が起こります。
急性裂肛と慢性裂肛があり、急性は文字通り大きなうんこをした後などに、急激にお尻から血が出たり痛みが走る感じのやつです。
急性裂肛を繰り返しているうちに潰瘍のようになってしまい、慢性的に痛みや出血が起きてしまうのが慢性裂肛です。

急性裂肛のときはボラギノール的な痛み止めやステロイドが入った座薬や軟膏を使うか、自然にほっておいても改善することもあります。
急性裂肛を繰り返して慢性裂肛と呼ばれる状態になると色々な治療方法が提案されていますが、なかなか改善しないことが多いため、裂肛を繰り返さないように、便秘や下痢を早期に解消しておくことが重要です。

発症は便秘がちな女性に多いと言われています。
悪化すると治りにくくなるため、血便やお尻の痛みがある場合には、恥ずかしがらずに是非早期にお近くの消化器内科もしくは肛門科を受診してみてください。

痔瘻のこと

痔瘻は少し特殊な痔で、肛門と直腸の隙間にある陰窩と呼ばれる部分から細菌が入り込むと、肛門挙筋と呼ばれる筋肉にある肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿がたまり肛門周囲膿瘍と呼ばれる状態になります。

筋肉や皮膚に膿がたまった状態なので激痛が走ります。ニキビのように、破れて中の膿が飛び出してくることで楽になります。ただし、この細菌が入り込んだ道がなかなかふさがらず、瘻孔と呼ばれる通り道ができあがってしまい、便をする度に細菌が皮膚の方から出てきてしまう状態になることがあります。この状態を痔瘻と呼びます。治療には手術が必要となることが多いです。

肛門近くの皮膚に激痛が走り、お尻から膿のようなものが出てきた場合には肛門周囲膿瘍(痔瘻)になっている可能性が高いので、早急に肛門科を受診することをオススメします。

以上、痔の三大天の解説でした。
どの痔のパターンであれ、悪化すると治すために手術が必要になったり、治りにくくなったりするため、
お尻に違和感を感じたらなるべく早めに肛門科を受診してみてくださいね。

 

話者 石井 洋介
日本うんこ学会会長、おうちの診療所目黒・秋葉原内科saveクリニック共同代表医師
消化器外科医→厚生労働省医系技官を経て日本うんこ学会会長へ。
コミュニケーションデザインとデジタルヘルスの力で医療をもっとよくしたいと思ってます。

 


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